いくつかのSFについて,私なりの読み方

幼年期 は人類の進化を描いた話という理解です.まぁ実質的に異化として扱われていますが.進化なんて本当にしちゃったらこんな結末かもしれないよ? というやや悲観的な話かと.有名な 2001年 もそっち系ですね.クライマックスは地方都市のシャッター通りのようにあっさりしょんぼりと終わっていく地球の有様ではないでしょうか.子供たちは外に出て行ってしまった,もはや異質な存在と化した子供たちが外でやろうとしていることは自分の理解を超えている... オーバーマインドとか割とどうでもよくて覚えてないです.Deus ex machinaということで勘弁してあげてください.オーバーロードすら引き立て役かと.彼らは進化の見込みのない種族で前途有望な人類を羨んでいましたが,(旧人類の視点から描かれた)地球の終わり方を見てしまうと「えー君たちはこんな結末が望みなの?」と思わせるサイドストーリーですね.ちなみに今では 新世紀エヴァンゲリオン の元ネタとして有名な グレッグ・ベアブラッド・ミュージック が,幼年期の終わり の(バイオテク時代への)アップデート版として知られています.これももう(エヴァ で引用されていることから分かるように)すっかり古典ですが... ずっと品切れなのか.ありえん.
次はテッド・チャンバビロンの塔 は,天空に天井があるという妙な世界観と,妙にリアルに描写された土木技術者(?)の技能とその活動のミスマッチを楽しむもので,正直穴の先に何があったとかどうでもいいと思います.72文字 もそれ系かと.72文字プログラマにはもっと親しみ深く読めると思います.私見では,SFは結末へ向かうストーリーと言うよりはストーリーの周りに肉付けされたディーテイルを愛でるものかと.まぁこれは人によって違うところかもしれません.ディーテイルを楽しむと言えば,クラークに戻ると 楽園の泉 が代表でしょうか.
ゼロで割る は私は割とどうでもよかったのでどうでもいいです.
というか表題作 あなたの人生の物語 を読んでくださいよ.最後の伏線回収は見事だと思いました.ただ変分法への親しみ深さによって感想は変わるかもしれません.私はそれなりにやったので...